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  3. ダブル・バインド(二重拘束)

ダブル・バインド(二重拘束)


相反する2つの項目に対して、どちらも~しなければいけない、あるいは、どちらも~してはいけない、という状態にあること。 矛盾の状態。

ex1
今の仕事を続けれなければ、薬を飲み続けなければならない。
今の仕事を変わらなければ、評価が下がる。

ex2
年長者の言うことは聞かなければならない。
自分は自由にしなければならない。

Art


次の要素の2つ以上のメッセージがあると、ダブル・バインドが成立する。
・最初の指示(指示)
・最初の指示と逆の指示(逆指示)
・逃亡禁止(拘束)
・異議申立て禁止(反論不可)

また次の要素が加わることで、ダブル・バインドはさらに強化される。
・確認禁止(曖昧)
・目的のすり替え(目的違反)

例文


例1
今の職場は忙しい。(仕事が忙しくて、健康管理が出来ない:指示)
身体の調子が悪い。(身体の調子が悪くて、仕事が十分に出来ない:逆指示)
しかし、部署の移動願いを出すと、評価が下がる(拘束)

例2
京都で「お茶でもどうですか」(指示)
断ると「そんなこと言わんと、せっかくやから」(拘束)
受けると「(長居して、嫌な人やわ)」(早く帰ったらええのに)(逆指示)

例3
「こういうことは事前に相談しろ!(指示)」
「そんなこともお前は自分で判断できんのか!」(曖昧)
「お前のために言ってるんだ。黙って聞け!」(目的違反、逆指示)
「なんで、確認しなかったんや!」(逆指示)

例4(奈良少年刑務所でみた詩)
涙は神様がくれたマホウの水、
だから泣きたいときに泣くのがいちばん(指示)
でも、いつまでも泣いていてはだめ(曖昧、逆指示)
いちばんうれしいときのために、
いちばん悲しいときのために、
涙はとっておかなくちゃ(拘束)

例5(あるテレビCM)
「今ダイエット中だっけ?」(拘束)
「じゃあ甘いものはよくないね。食べてあげる」(指示、目的違反)
「あなたのためだから」(反論不可)

例6(母親が子供に対して)
「早く食べなさい」(指示)
「よく噛んで」(逆指示)
「だめよ、全部食べないと」(拘束)
「どうして、あなたはいつも偏った食べ方をするの」(曖昧、目的違反)

Work


反応


ダブル・バインドが繰り返し行われると、自分自身のコントロールを喪失するため、そこから生まれる反応は
・従う
・依存する
・抵抗する
・無関心


ダブルバインドから抜け出す方法


・実現したいことを、肯定的に明らかにする
・具体的な確認を行う
・目的を明確にする
・優先順位を明らかにする。
・上位概念を明らかにして、統合して、共通のメリットを導き出す。
・他人事として扱う(メタポジション)
・矛盾に矛盾で対向する

考え方の例


1)「早くしなきゃ、、でもちゃんとしなきゃ、、出来ないと行けないし、、出来ないなんていっちゃだめ、、、」ダブル・バインド(二 重拘束)です。身動き取れなくなります。とりあえず「早く」と「ちゃんと」のどちらがより大事なのか、決めてください。

2)「早くしなさい、ちゃんとしなさい、言うことを聞きなさい」
これも立派なダブルバインドです。同じ言うなら、こう言えば相手は楽です。
「早くしてもいいし、ちゃんとしてもいいのよ、どっちがいい?」

3)朝から「いややなあ、帰りたいわ」、そう思っても言わない方がいいですね。言えばますます無気力になってしまいますよ。だってこ れもダブルバインドです。代わりに「やれるようにやろっと」とでも言ったほうがまだましです。

Note


・ベイトソンのダブル・バインド
 どちらをしても閉鎖的(あれしたらダメ、それをしてもダメ)
・エリクソンのダブル・バインド(リリース)
 どちらをしても開放的(あれをしてもいい、それをしてもいい)

比較例


「健康上の理由で会社を辞めたいけど、辞めると人がいないから辞められない」
ベイトソン
「あなたが意気地なしなのか、それとも会社が巧妙なのか、どっちでしょうか」
エリクソン
「あなたが優秀なのか、会社の求人が下手くそなのか、どっちでしょうか」