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  3. ミルトン・モデル

ミルトン・モデル


意図的に、曖昧な表現をすることで、意識的な抵抗を解放し、効果的な意味を理解することを助ける。ミルトン・エリクソンの言語パター ンの研究からリチャード・バンドラーら(NLP)によって体系化された。
* ミルトン・エリクソン(外部リンク)

項目


1.逆メタモデル
2.前提(逆メタモデル12は前提)
3.ペーシング
4.間接的誘導パターン
5.メタファ
6.付加疑問(タグ・クエッション)
7.多義性(アンビギュイティ)
8.応用

1.逆メタ・メタモデル


(1)単運削除(名詞を削除)

(2)比較削除(比較対象削除)

(3)指示詞の欠如(主語の削除)

(4)不特定動詞

(5)名詞化

(6)因果関係

(7)複合等価

(8)マインド・リーディング(読心術)

(9)ロスト・パフォーマー(判断者の削除)

(10)前提

(11)全称限定詞(全て、いつも)

(12)モダル・オペレーター(必要性、可能性)



2.前提


はっきり表現せずに、間接的に真実であると伝える。
前提を複数重ねれば重ねるほど強力となる。(前提のスタッキング)

(1)時間フレーム

    ~しながら、~の前に、~の後に、~する間

(2)順序

    もう一つ、最初の、次の、2番めに

(3)二者選択(ダブル・リリース)

    あるいは、それとも、または

(4)意識

    知っている、気づいている、学ぶ、発見する

(5)時の変化

    始める、終わる、続ける、すでに、未だ

(6)副詞、形容詞

    簡単に、深く、なぜ、どこ、いつ

(7)注釈

    幸運にも、面白いことに、やっぱり

例文

休憩の前に、もう一つワークを楽しみましょう。既に気づいているように、このワークをする間、幸運にも、新しく学んだり、あるいは、 シンプルに発見し続けることが、いとも簡単であることが、面白いように分かるでしょう。

*接続詞 (別ウインドウで開きます)

3.ペーシング


(1)関連付け(意味論的不的確性)

    ①無関係の接続:そして、すると
      *リンキング(別 ページで開きます)
    ②時間の接続: しながら、するうち、する間
    ③因果関係:  ~がさせる、引き起こす

例文

そうですね、そして、新しい経験をするうちに、やがて、これまでの学びが関連付けられながら、新たな経験が、さらに新たな経験を引き 寄せることに気づくでしょう。

(2)活用

    クライアントのことを活用して、別の体験に導く
     つまり~
     それがいいですね(代弁)

(3)自明の理(トウルイズム)

    否定出来ない一般化
     「殆どの人は座った時の方がリラックスできる」
    *自明 の理の説明引用 (別ウインドウで開きます)

(4)イエス・セット

     *イエスセット他を使った営業トークの例 (別ウインドウで開きます)

4.間接誘導パターン


(1)埋め込まれた命令

    「楽しんで、深呼吸しながら、心地よく音楽を聞くのはいいですね」

(2)アナログ・マーキング

    声の調子でインパクトをつける

(3)埋め込まれた質問

    「~かなあ、と思います」

(4)否定命令

    「~しないでいい」
    *否定命令の例文 (別ウインドウで開きます)

(5)会話的要求

    can? の質問で、それをしてくれる。
    相手が、yes no で答える質問。 


5.メタファ


五感の叙述語を使って、役者のようにストーリーを見せる、演じるとさらに効果的です。
・ジェスチャー・抑揚・オノマトペ(擬音語/擬態語)
*感覚システムの叙述語

(1)選択的な制限違反

    現実性の違反、ファンタジー(大げさに表現)
    「光が優しく包み込んでいます」
    「おばあちゃんの知恵袋」

(2)暗喩

    「彼は太陽だ」

(3)直喩

    「彼は太陽のようだ」

(4)引用

    名言など、


応用:リアリティのスタッキング

現実を積み重ねれば積み重ねるほど,相手は混乱し、意識的なマインドの拒否を取り除く。
ストーリーの中にストーリーを埋め込む。
穏やかに相手をオーバーロードさせる。
    

(5)寓話 アナロジー(類推)ストーリー

(6)言葉の強調

    物陰に立っている→物陰にひそんでいる

Isomorphic

同じような状況設定の物語。状況、構図、アナロジーとしての例。
合格→桜が咲いた

Homomorphic

ステイト設定を感じさせる物語。相手に同じようなステートを引き起こす。
花さかじいさん、勝って兜の緒をしめる→もっと出来るやろ

*メタファの例文 (別ウインドウで開きます)


6.付加疑問


否定形を付加することで、極性反応者に効果がある
「やりたいんやろ? ちゃうの? そうやろ?」
※極性反応者(ポラリティ・レスポンダー):あまのじゃく


7.多義性(アンビギュイティ)

同じ言葉から同時に複数の意味を伝える。

(1)音韻的 同音異義語

    *ダジャレの例 (新しいウインドウで開きます)

(2)構文的 両義性

    文法的に別の意味を伝える。
    「トレーニング中の講師」(トレーニングを受けている、提供している)
    「お話をされる人」(話を提供する人、話しかけられている人)

(3)範囲、句読点

    どこまでかかっているか
    「美しい先生と通訳」
    「自然ってジョン素晴らしいよね」


8.応用


(1)中断

    「本を見て、ちょっと待って、本を見て、待って」を繰り返すと、どうしても見たくなる
    じらすことで、トランスと覚醒を繰り返す

(2)不完全な文章

    文章の一部を意図的に言わないでおく。そうすると相手の頭が勝手に補う。
    考え落ち


Note


「安心感を持つことは大切なことです。準備は整っているという感覚、何があろうとあなたには、出来事を受け止め、対処する能力がある と知り、楽しんで行うこと、それが大切なことです。そしてまた、自分には対処することができない、というのも良い学びの機会になりま す。後になってそれが様々な面で、非常に役立つ学びだったことに気づくのです。それは自分の能力を知る機会を与え、またあなたが、自 分の内側に持っている安心感を、どこで使うべきなのかを教えてくれます。良いことにも、悪いことにも立ち向かい、必要とされることを 行う。それこそ、人生における真の喜びです。」
ミルトン・エリクソン